スキー場など管理されたエリア以外で、スキー、スノーボードをすること。
基本的にリフトなどを使わないで、自分の力で登って、自然のままの地形を滑ります。
もちろん圧雪車が無いので、パウダースノーが楽しめます。
バックカントリーの大きな魅力はふたつ。
一つ目は、なんといってもパウダースノーが滑れること。
まだ荒らされていないバージンスノーにファーストトラックを描くことは、この上ない快感。滑ったルートを振りかえり自分のトレースを振り返る爽快感は体験しなければ解かりません。
また、パフパフのパウダーに板を浮かせながら滑る無重力感も言葉では説明できないほどの気持ちよさです。
二つ目は、大自然にふれあうこと。
ゲレンデと違って人工的に作られていないエリアを滑るバックカントリー。色々なものが雪で隠され、モノトーンになった世界は幻想的です。
耳を澄ますと、風の渡る音、水の流れる音など、自然の音だけが聞こえ、人工音のない世界で本当の自然を体験することができます。
また、バックカントリーでは、時期、天気、気温、風、積雪などがそれぞれ違い、決して同じ条件で滑ることがありません。その時の状況に合わせて自然と対話をしながら、滑ることになります。
魅力的なバックカントリーですが、誰でも簡単に楽しむことはできません。
いくつものリスクが潜んでいます。その数々のリスクをヘッジして初めて、安全に、快適に、そして楽しく滑ることができるのです。
道迷い
夏山と違って登山道は雪の下に隠されています。また、道標や目印になる山小屋だって雪に埋もれていることがあります。天候が悪くなくても、自分の居る位置さえ判らなくなり、迷ってしまい下山することができなくなります。
雪崩
バックカントリーで一番怖いのは雪崩。同じような雪の斜面でも雪崩のリスクは違ってきます。その時の天候、気温、時にはそのシーズンの雪の降り方まで考えなければ、雪崩のリスクを判断することはできません。
滑落
雪の斜面は滑りやすくなります。冷え込むとアイスバーンとなりさらに滑りやすくなります。
また、時には険しい雪や岩の壁を登ることもあります。ここで滑ってしまうと、何十メートルも滑落して、大きな事故に繋がります。
急激な天候変化による低体温
急激な天候変化で、風や雪、時には雨にさらされる場合があります。直ぐに下山できたり、山小屋に避難できれば良いのですが、そういうわけにいかない場合は、低体温症のリスクが発生します。低体温症になると、体の機能が失われ、最悪の場合は死亡事故につながります。また、末端が冷えれば凍傷のリスクも発生します。
さまざまなバックカントリーのリスクを軽減して、安全に楽しむには色々な知識が必要です。
プランンニング
バックカントリーツアーを行うにあたって、ルート選択、メンバーの役割分担、装備の準備、万一のレスキュー体制、登山計画書の作成など、ツアー全体をマネージメントができる必要があります。
コンパスを使った地図読み
地図・コンパスを使って、山座同定で自分の位置を確認したり、進むべき方向を見つけたりします。熟練すると、ホワイトアウトした時にも地図とコンパスだけで行動することも可能になります。
雪崩発生のメカニズム
どのような地形、雪質で雪崩が発生するのか。メカニズムを知ることによって、未然に防ぐことができます。
万一雪崩に合った場合の対処
雪崩に遭遇して誰かが埋没した場合に、ビーコン、ショベル、ゾンデなどを使って、いかに早く要救助者を見つけてレスキューできるかが重要になります。日頃からの訓練が必要です。
ハイクアップ
スノーシュー、シールの使い方。また、登る際のルートの取り方にも知己が必要です。
ロープワーク
滑落しやすい場所で、フィックスロープを張ったり、リーダーが初級者と歩く場合にショートロープを使ったりすると、滑落の危険個所をより安全に通過できます。
セルフレスキュー
雪崩、滑落などでケガ人がでた場合、いかにスムーズに専門機関(警察、救急車、病院)にバトンタッチするか。
※この装備表は、一般向けガイドツアーに参加する場合の参考装備表です。
ルートの難易度、ツアー形式などによって、かわる場合がありますので、ご注意ください。
自分や仲間うちでバックカントリーに入る
上記の知識を全て取得してから、バックカントリーに入ります。
これらの知識がなければ、大きな遭難事故を引き起こしてしまうリスクが大きくなります。
しっかりとした知識、経験を持たずに見よう見まねでツアーをしたり、ゲレンデを滑っている時に、ゲレンデ外にトレースがあるからといって、なにも考えずに、その後を追ってみたりすることは、決してやってはいけないことです。
ガイドツアーに参加する
公益社団法人日本山岳ガイド協会認定のガイドが、実施しているバックカントリーツアーに参加すれば、安全管理をガイドに任せることができるので、バックカントリーツアーができる基礎体力があればツアーを楽しむことができます。
ツアーに参加しながら、知識と経験かさねて、最終的に自分たちでバックカントリーに入ることができるようになる人もいます。
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